東京グローブ座にて上演している
パトリシア・ハイスミス原作
二宮和也主演 ロバート・アラン・アッカーマン演出
『見知らぬ乗客』
初日を観た。
資産家の息子ブルーノと、若き新進建築家ガイ。
全く関わりのないふたりが、偶然乗り合わせた長距離列車。
浮気し子まで孕んだ妻と離婚の話し合いをするべく
故郷へ帰る旅先であったガイに、
見知らぬ男ブルーノは親し気に声を掛けた。
訝しがるガイを自分のコンパートメントに半ば強引に招き入れた彼は
言葉巧みに奇妙な提案を持ちかける。
その提案とは────
名匠ヒッチコック監督の映画で有名な
交換殺人を軸に展開するサスペンスストーリー。
空虚な心と歪んだエネルギーを持て余す
資産家の息子チャールズ・ブルーノに、二宮和也。
ブルーノに翻弄され心揺さぶられる
若く美しい新進気鋭建築家ガイ・ヘインズに、内田滋。
チャールズを溺愛する天真爛漫且つ妖艶で奔放な母エルシーに
秋吉久美子を配する。
...と、ここまで迷いつつ書いたけど。
サスペンスってレビュー書きにくいねえ...☆(;^_^A
どうやったってネタバレになっちゃいそう。
や、ま、ネタバレは書いてないつもりですが
些細なことでも気にされる御仁は
その旨ご承知おきの上ご覧下さいませ。
まず、作品としてはおもしろかった!(・∀・)
わたくしは原作を読んでおらず
映画も、ヒッチコックにだだハマリだった高校生の頃に
一、二度観たっきりなので
映画の記憶を軸にしかお話できませんが。
どうやら映画はかなり原作と違うストーリーを辿っていたようで
プログラムによれば、戯曲化された今作は
ほぼ原作を踏襲したエピソードを描いている様子。
なので、映画を観ていても
全く趣の異なるストーリー展開に、大いに楽しめました。
演出も、アッカーマンらしいエロティシズムなども見られ
緻密で濃密
且つスリリングで大胆な物語を見せてくれた。
盆を巧く使い、転換も飽きさせない。
特に、第一幕での見せ場であるメリーゴーラウンドと
幕切れの手に汗握る緊迫感、
第二幕での壊れゆくブルーノの姿を描いた演出は圧巻。
二幕ものだし、一幕は特に、イマドキのストレートプレイにしちゃ
若干上演時間が長いかなーとも思うけど。
アッカーマン作品は元々結構長いの多いからね。
飽きなかったしそれはそれでよいかと。
ただ。
翻訳には、いまいち難が在るように思えた。
海外で戯曲化されたものに更なる手を加え
翻訳して上演している訳ですが。
その翻訳する際の...なんてんだろなあ、こう云うの。
言葉の選び方の違和感、とでも言うのか。
紙の上に書かれた文字を言葉として読む分には問題なくとも
それを台詞として口にする場合、
なんだか妙に耳通りが悪くなって違和感を感じる。
例えば
「頼むから...!頼むからそう言ってくれよ!」
ならスムースだけど
「お願いだから...!お願いだからそう言ってくれよ!」
だと、途端に耳通りが悪くなる。
意味は同じなのに
小骨が引っ掛かったような奇妙な違和感を感じてしまう。
ほんのちょっとしたニュアンスなんだけど
これって気になり出すと芝居に集中できないんですよね。
台詞がカラダに入ってこない。
話は違うけど、そう云った意味では
わたくし、セレソンの宅間さんの言葉の選び方って
苦手だったりします(^^;
花男とかスマイルとか、もっすご顕著。
アッカーマンはそう云う日本語の細かいニュアンスは
通訳を通してのものしか解らないし、
役者が「この言い回しはちょっと違う」とでも言い出さない限りは
そのままスルーしてしまうのが翻訳モノの怖さ。
日本語って難しいねえ...。
それともうひとつ気になったのは。
初日だから、と云うのも多分にあったとは思うけれど
転換時の裏の音がうるさい!
転換員の道具さんたちが、ガタガタドンドン。
何かとバタバタしすぎ!
幾らなんでもあれじゃ意識しなさすぎだよ( ̄д ̄;;
なーんて一幕で思ってたら
二幕ではずいぶんと静かになってた☆
(クライマックス、裏方が見切れてたけど笑)
...ま、恐らく、幕間にダメが飛んだんでしょう...(;^_^A
アッカーマンも客席で観てたしね。
衣裳は如何にも欧米人女性デザイナーが好みそうな
黒×白を基調としたエレガントなもの。
シンプル且つ女性らしい綺麗なラインのドレスやワンピース。
スーツにタキシードに中折れ帽に蝶ネクタイ。
黒白コンビの靴とか履いちゃう。
美術全般が黒×白基調で統一されていたので
演出家が思い描く日常の恐怖、狂気、そこに潜む愛の世界が
そのようなイメージなのだろうと思った。
作品世界にはしっかりリンクしていたように思う。
若干チープ...と云うか、現実感のない無機質な感触の装置が
却って不条理的気持ちの悪さを覚えさせた。
で、肝心の二宮さんですが。
冒頭の彼の芝居を観た瞬間の、第一印象
わー。にの、芝居変わった!( ̄□ ̄;)!!
芝居のアプローチも台詞まわしも間の取り方も、どれもが
各ドラマは元より、シブヤとも理由とも違う。
どうやら新たな成長段階の局面におられるようで。
それは役がどうこう、と云うことではなく
彼の芝居の抽き出しコンポーネントとはちょっとズレた角度に
また新たなコンポーネントが現れた感じ。
非常に新鮮でしたね。
これをアッカーマンが引き出したのだとしたら
さすがとしか言いようがない。
また物語の舞台が50年代だけに
髪型もそれらしく整髪料でなでつけているし、
衣裳も上に書いたように、スーツに中折れ帽だったりとか
これまた見慣れない姿。
黒いバスローブで登場したりしちゃうからね笑
あー見慣れない見慣れない笑
わたくしが特にグッときたのは、一幕幕切れの場。
ブルーノとガイの緊迫した芝居に
沢田さんの照明が見事にフィットし、黄金バランスを醸してた。
あそこ、非常に好きでしたね。
それとやっぱり、二幕のクライマックスから幕切れまで。
佳かったっすねー( ̄ ̄ ∀  ̄ ̄)
並々ならぬ緊迫感と狂気。
スリリングで破滅的で、哀しい愛にあふれてた。
せつなかったす。
カーテンコールは4回。
紗幕の緞帳から透けるキャスト連中がなんか可笑しかった笑
4度目では秋吉さんひとりが何故かあわあわ登場し
「あの、ちょっと待ってね!(^^;」とキョロキョロ。
どうやら主役チャーリー二宮さんがどこぞへ行ってしまった様子(^^;
そのまま探しにハケて、しばらくしてすぐまた登場し
困り果ててステージ上から「チャーリー!(>_<)」などと呼ぶと
客席からも「チャーリー!( ̄∀ ̄)」の大合唱...(^^;
それを二度くらい繰返し、また探しにハケる。
と、入れ違いにすっかりジャケットも脱いでシャツもはだけ気味の
チャーリー二宮さんが上手からバタバタご登場笑
戻って来た秋吉さんと訳の解らない譲り合いのやり取りを交わし
最終的に二宮さんひとりがステージに残り
ちょこっとご挨拶。
初日を迎えられたことへの感謝とスタッフへの労いを述べ
「皆さんの拍手で、きょうこれからの僕へのダメ出しが減ります。」
と、客席後方に居たアッカーマンをご紹介。
笑顔と拍手で初日の幕を閉じました。
カーテンコールでニノに対して歓声があがるのは
もう致し方ないかと諦めているので(^^;笑
本番中に妙な反応がないだけ全然良かったと思います。
嵐ファンも観劇にはだいぶん慣れてきたのか
自制することを覚えなすったようで。
何よりでございますよ。
...ま、開演前にあんなに静かにならずともいいかとは思ったが笑
余談だけど。幕間にパンフ買おうと席を立ったら
公私共にお世話になった知った顔に出っ会して、びっくり☆(^^;
その場は少し話して別れたのですが、
終演後、いつもの姐サマを呼び出して渋谷で食事しつつ
(姐サマ遅くに申し訳ない。いつもあざーっす!m(__)m)>私信
開けてなかったパンフ開いて眺めたら
クレジットに知った名前がちょいちょいあって。
あー。なるほどね。と思った(;^_^A笑
一度しか観れないと思っていたこの公演。
ありがたいことに、どうやらもう一度観られるチャンスを戴けそう。
本当に感謝感謝でございます。
今回は気付いたら財布に2,680円しかなくて。
パンフとポストカードセットでギリギリやんかー!Σ( ̄□ ̄;;
と、残金80円に残念なオトナを感じずにはいられませんでしたが笑
次回は財布の中味にももう少し余裕を持って
劇場へ足を運びたいと思います。