問題の場面は11番、303ヤードのパー4。ドライバーで1オンを狙った球は大きく左に曲がり、やぶの中へ。石川は暫定球も打って、また左に曲がったが今度は木に当たって転がり出てきた。
セカンド地点に向かう途中、ギャラリーが1打目のボールを発見し「あった、あった。セーフだよ!!」と大声を上げた。その声を聞いた競技委員から「セーフ」と伝えられた石川は「100%セーフだと思い込んでしまった」という。そして、OBかどうかを確認せずに「当たり前のようにプレーしてしまった」。
しかし、ギャラリーが移動すると、やぶはすぐ近くのOB杭(くい)の外にあった。気づいたギャラリーが指摘し、ホールアウト後に本人と大会役員が現場で確認。石川は「50センチぐらい入っていた。誰がどう見ても(OBは)明らか」と認めた。
ただ、気づかなかった理由もある。石川を取り巻く大ギャラリーのためだ。遼クン人気で平日の初日では異例の2744人。プレーを間近で見たい人が殺到し『OB杭』を隠していたのだ。
「当然、失格と思っていた」。石川は最悪の事態を覚悟していたが、JGTO(日本ゴルフツアー機構)が下した裁定は「OBの2打罰」だった。林規則部会長は「競技委員の指示でプレーしているのだから、誤球の罰は免除される。よって失格にはならない」と説明。米国や英国での過去の裁定にも照らし合わせたという。
石川側は“特別扱い”されることを懸念し強く問いただしたが、JGTO側はこれを否定。野村競技委員長は会見冒頭で「まず最初に『石川遼だから』という裁定でないことを申し上げておく」と、くぎを刺した。石川は「僕の知らないルールで、吹っ切れてはいない」とドタバタ劇と予期せぬ裁定に複雑な表情だったが「あしたまたプレーできることは、神様が助けてくれたのかな。気持ちを切り替えたい」と最後は前を向いた。
それでも4オーバー、105位。苦しい発進となった。予選突破も厳しい位置だが「感謝の気持ち」で新たな1日に挑む。