2009年04月06日

海辺のオーウェル

我が家の犬の故郷スコットランドに、ジュラ島という人口200人にも満たない小さな島がある。
人間の住む島というより、鹿の住む島に人間も住んでいると言ったほうが正しい。
そんなジュラ島であるが、世界的に名の知れたものが二つある。
一つは、スコッチウィスキー『アイル・オブ・ジュラ』。
島に一つだけある蒸留所で作られる、島唯一の特産品。
そしてもう一つは、作家ジョージ・オーウェルが晩年をこの島で過ごし、病の中書き上げた『1984』。
『動物農場』で世界的名声を得た彼の最後の長編作品だ。

わたくし特異点が初めて手にしたジョージ・オーウェルの作品は『カタロニア賛歌』であった。
アヘン成金の家庭に育った彼はイギリス一の名門校イートンカレッジで落ちこぼれ、旅に出ると世界中で職を転々とする。
そして、新聞記事の取材でスペインに居た際、バルセロナで起こった革命的状況に感動した彼は、そのまま義勇兵として参戦する。
しかしそこで待ち受けていたものは、一筋縄ではいかない複雑な世界の縮図であった。
世界中から様々な思惑で乗り込んで来た様々な連中たちの、複雑に絡み合ったパトロンたちの利害関係と前線の損得勘定が、当事者のスペイン人たちそっちのけで繰り広げられていた。
スペイン解放の名のもとに。
そこで重傷を負った彼は戦線を離脱し、そのスペインでの体験を本にする。
それが『カタロニア賛歌』である。
このスペイン内戦には、アーネスト・ヘミングウェイやロバート・キャパなども現地に赴き作品を残しているが、私はジョージ・オーウェルのものが一番好きだ。
人間のオロカさはもちろん、マヌケさやイイカゲンさ、アタタカさやザンギャクさが冷静に描かれている。
世界情勢に関心のある人は、是非読んでみて下さい。
今も昔も人間は変わりません。
「誰々のため・・・」とか「世界のため・・・」と謳い文句にしているものには、ちょっと気を付けたほうがよいかもしれないですね。

さて、先日「エルサレム賞」を受賞した村上春樹が、新作の長編小説を発表するらしい。
その名も『1Q84』。
オーウェルファンの私にはなんとも挑発的なタイトルである。
しかも、いよいよ「獲りに来た」感がプンプンする。
ノーベル文学賞の先輩ジョージ・オーウェルにあやかろうというわけだ。
やれやれ。





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ノーベル文学賞の先輩作家?
Posted by NO NAME at 2011年11月25日 13:56
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