2012年05月29日

心臓の副産物




詩、音、色。溢れる。
雨だ。雨が降ってる。
光は燃えている。燃えている。
うたにして。
夜になって。朝になる。
逢えるのを待ちこがれてる、
心臓の音が重なりあったときに奏でられる、愛しいメロディ。
月までの坂を、羽根つき馬に飛びのってかけあがってゆく。
詩、音、色、溢れる。
朝になって。夜になって。
逢えるのを待ち焦がれてる。
空間を越え、たなびくフレーズはあどけなく、
月の裏側にゆきとどいて、宇宙の先端か、尾っぽか、あれはどちらだったか、
そういうところにまで響いている。響いている。
わたしたちの心臓はそれを吸収して、ひとつの輝く鐘になった。
鐘が鳴る、
ほら、愛の鐘が鳴る。
わたしはそれを詩に、音に、色に。
あなたはなににするだろう。




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2012年05月17日

月とたまごと

 


今日はそとの風合いが
コバルトブルーのゼリーにおおわれてる。
月がもうすぐいっぱいになって、
たしかあとすこしで金環日食がおこるせい。
すべての生きもののメスは、それに敏感に反応することができる。
気泡まじりのブルーはたくさんうるおいすぎて、
個体の線引きを、いともたやすく越え染みだしてゆく。
その線がひとつずつ消えてゆくたび、
コントラバスが重奏しているかのような、やさしい低音のきしみ。
わたしの内部はどんどんふくれあがってしまう。
どこになにがおさまっているか、目をつむればよくわかるようになる。
ここに肝臓があって、大腸があって、
あそこは肺。ここは胃袋。
ハートの兵隊がちりぢりにちらばって遊び、ぶらさがったりする肋骨と肋骨の間隔。
よく鳴る心臓。そこに流れている血液と、逆流を留める弁。
横隔膜のふるえ。
背骨の傾斜。細長い木の幹のような。

そして、いのちのゆりかごになる子宮。
そこから、もうすぐこのブルーに溶けだしていってしまうちいさなたまご。

もうきっとあとすこしでさようなら、さようなら、
わたしのかわいいたまご。

月の引力が、海を寄せては引かせ、
いきもののメスのリズムもつかさどる。
こんな神秘、あなたに感じられる?

ハウリングしている、ブルーのゆらめき。
新緑の風が毛羽立ちながら、吹きながしてゆく。
おしだして、おしだして、
もどされることはなく、流れ落ちてゆく。










2012年05月07日

5月の月と風のこと


 

ながい銀色のアーチ橋を渡っていると
お月さまがわたしを見つめていた。
丸鏡のお月さまは
ウエサク祭りや
初夏の木々のめぶきや
民家の一戸一戸に
それぞれはじまっているおはなしを眺めて
太くおおきく輝きを強めている。
それがグレゴリオの5月の満月のありかた。
その光線で
地球のそとがわと
うちがわが接続しあって
まだ形にならない宇宙のかけらたちが
光の速度でぐるぐると空中をかけめぐっている。

(どこへゆこう?
 どこへゆこう?
 どうやってゆこう?
 
 どこまでもだよ、
 どこへでもだよ、
 そう、どこへだって。)

ぐるぐる、ひかりのおでこがぶつかりあって、
星がはじけてうまれて
地球に落ちていく。
地面いっぱいに天のかわ。
橋がきらきら光る。
淀川にも星が浸かって
魚のように泳ぎだし、
水面はネオンに照らされているときよりも
とてもとても澄んでいる。
そうね、濁りはいつか浄化されるのね。
わたしは夜中3時自転車走らせて
風神雷神きどり。
風のように、風のように、走ってゆく。
宇宙から絶え間なく
吹きつける風を感じながら。

風を呼べ、龍をよべ、
グレゴリオの5月の風。
身体を洗いあげる、
地球の外側から、
新鮮なとれたてのまばゆい風。
すいすい、最初から最後まで
心地よく橋をすべってゆく。

(どこへだってゆけるね、
 どこへだってゆけるね。

 どこへでも、どこへでも、
 創造のかぎり。)

地球を洗いあげる、
月のひかりと、風がここにもめぐってる。

未来永劫のシンパシー。
それは、垣根なしに。

2012年04月18日

いちごの古都華

 
 

ひろくひろく
零(ぜろ)のほだしがつづく空を
ビリジアンの蔓のしたから
みあげています。
となりには
菜の花のぎょうれつです。
そのあまりにも活発で
強烈に燃える黄色。
ひかりのこどもたちがよろこんで
我先にとあつまって
たくさん繁殖しています。
これはこれは、と
いっそう強烈に燃える黄色です。
空の零の輪が反射しあい
空中はぴかついて
山の辺を連なる桜の木は
おどろいて散るのを早めたほどです。
わたしは燃える光をあびて
どんどん熟してゆきます。
ときおりやってくる鶯が
山のことを話してくれたり
うたを紡いでくれたりします。
にんげんも通ります。
わたしをみておいしそうだなあと
いいます。
かみさまは山鳴りに感じます。
わたしはもう少ししたら
摘まれます。
甘酸っぱい、
あまずっぱいわたしです。







ストロベリー・パンク

 

一切合切皆懺悔
切り切り舞い舞い
朝もやは
盛られたストロベリーに
かけられたコンデンスミルクみたいだなって
彼女が用意してくれたいちごもりを見て思う
ガラスボウルにむかって
蟻の行列が
縁側の庭から始まってる
僕は椅子の背もたれを前にして
頬杖ついてそれを眺めてる
ときおりゆびを置いて
行進を邪魔してみたりするんだ
僕は悪いやつだ
スピーカーからパティスミスの
ニガーニガーって声がする
ねえパティ、
奈良で名前も知らないひとが
とてもやさしくしてくれたよ
いつもやさしくしてくれる人に
お礼をしたら
お礼のお礼をされたりしたよ
僕はどうしたらいいのか
わからない
ねえパティ、
あのひとたちはニガーなキリストだよ
ニガーニガーなやさしいひとだよ
僕もニガーだ
はみ出しものだ
だけどクリアな黒にも白にも
まだまだ近づけない
一切合財皆懺悔!
それで切り切り舞い舞いで
今日もやってる!
一切合財皆懺悔!
切り切り舞いで
明日もやってる!

苦々しくてもいいな!
苦々しくてもいいな!

きれいに盛られたいちごなんか
てっぺんから
崩すのさ

でこぼこストロベリー僕らの
でこぼこストロベリー

グローリア!
グローリア!



 

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