2012年03月08日

今日の社説 437

3月8日 読売新聞

被災企業の立て直しが大幅に遅れている。復興には、産業を再生し、地元の雇用を確保することが急務である。岩手、宮城、福島3県で被災した商工業者は2万7000社に上り、5社に1社が休廃業に追い込まれた。大地震と津波で工場や店舗が甚大な被害を受け、事業を継続できなくなったケースが目立つ。政府は、復旧費の大半を助成する補助金で支援している。だが、新規事業は対象にならず、地元の期待に十分応えていない。地場産業をどう復興するか、全体像を描けない地域は多い。政府と自治体は、もの作りや食の拠点の再生など、地域の特性を生かした支援策を練り、着実に実行することが大切だ。被災企業が事業を再開したくても、震災前の借金を抱えたままでは、新たな融資が受けられない。

こうした「二重ローン問題」も、被災地の重荷となっている。昨秋発足した産業復興機構は、企業向け債権を金融機関から買い取り、返済期間を延長して負担を軽くする仕組みで、支援に当たっている。だが、買い取り決定が7社にとどまっているのは、条件が厳しすぎるのではないか。今週、同様の役割を担う政府の事業者再生支援機構も業務を開始した。両機構とも、企業の再生可能性を見極め、支援の要望にできるだけ応えてほしい。雇用情勢は一段と深刻になってきた。被災地の失業者向けに特例で延長された失業手当の給付は順次終了し、4月末までに約1万人が期限切れとなる。2月中旬までに手当が打ち切られた人の6割は仕事が見つかっていない。

復興需要で建設などの求人が増えても、被災者が望む仕事と食い違う「雇用のミスマッチ」が起きている。被災者の生活が安定するには、雇用の確保が不可欠だ。まず、基幹産業である水産業の再生を急ぎたい。地元企業と大手商社が大規模な水産加工団地を計画する宮城県気仙沼市の取り組みは評価できる。被災企業の再建にとどまらず、復興特区などを最大限に活用し、環境、医療、エネルギーなどの新規産業を取り込み、育成することが求められる。被災地は人口減と高齢化が進んでいた自治体が大半だ。地域の魅力を増すには、企業誘致や農林水産業の体質強化も重要である。

あの震災が原因で自己破産を余儀なくされたり、会社が倒産してしまうということが多かったですからね。政府も補助金などを出すなどして、企業再生を応援してきましたが、やはりそこで働く労働者の雇用の確保をしなければ再生はあり得ません。震災が原因で失業してしまった多くの人を雇用する機会を作っていただきたいと思います。被災地でも雇用のミスマッチの問題が深刻化しているそうですが、働かなければ賃金がもらえないというのが今の日本の現状ですので、何としても手に職をつけなければいけません。東北復興へ最も大きな原動力になるのは建設業でしょうし、漁業が盛んな東北地方にとって、水産業の労働者の確保も欠かせません。失業手当が打ち切られてしまうと、完全に収入は無くなってしまいますので、政府は雇用の確保を早急に行うか、それが無理なら、例外的に失業等給付の受給期間を延長させるなどの対策が必要になるのではないかと思います。
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2012年03月06日

今日の社説 436

3月6日 読売新聞

ロシア大統領選で、プーチン首相が6割を超す得票で当選を決めた。2000年以降、大統領、首相として実権を握り続けたプーチン氏に、有権者はさらに6年間の統治を委ねることになる。プーチン氏は1990年代の経済混乱を収束させた。その手腕への支持の根強さが示された。だが、逆風の中での勝利である。昨年12月の下院選での不正選挙疑惑をきっかけに、反プーチン集会が繰り返し開かれた。プーチン氏が勝利宣言した際、珍しく涙を見せたことが、厳しかった選挙戦を象徴している。中間層を中心とする批判勢力は、有力候補を立てられず、求心力を欠いた。それも、プーチン氏が大勝した一因だろう。プーチン氏には勝利に満足している余裕はない。

5月の大統領就任後、直ちに改革に乗り出すことが求められている。経済分野では、エネルギー資源への依存体質から脱却することが最大の課題だ。原油価格に過度に左右される経済は不安定だ。国民の不満や憤りは、経済よりも公務員の汚職に向けられている。不正の一掃へ実効性のある対策を講じることが急務である。選挙での立候補や政党登録の要件を緩和する政治改革も、国民の政治不信の解消には肝要だ。外交・安全保障分野では、プーチン氏は、選挙戦で公表した論文で、核抑止力を強化する方針を示し、米国に対抗する構えを強調した。北朝鮮やイランの核開発など米露の協調が必要な局面だけに、緊張が高まらぬよう望みたい。

プーチン氏は、大統領選の投票日直前、一部メディアと記者会見し、日本の北方領土問題に関して「互いに受け入れ可能な妥協点を探りたい」と述べ、最終的な解決を目指す考えを表明した。北方領土をめぐっては、メドベージェフ大統領が一昨年、ロシア元首として初めて国後島を訪問したことで、日露間の溝は深まっている。プーチン氏の発言は、大統領就任後、交渉に入る用意を示したものだろう。プーチン氏は9月、ウラジオストクでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を主宰する。アジア・太平洋地域へ関与を強めようとする意欲がうかがえる。日本は、ロシアのトップ交代を北方領土問題での進展や資源外交の新たな展開に生かしていく必要がある。野田政権には、腰を据えて、対露外交の立て直しに取り組んでもらいたい。

やはり諸外国は日本と違い、首相がコロコロ変わったりしないですね。日本が異常なだけかもしれませんが…。日本だけでなく、世界中の国々で自国が抱える課題に対し、的確なリーダーシップをとって解決しようと努力する人間を国民は望んでいるんですね。そう考えたらロシアの政権は非常に長く続いていると思いますね。日露間においてもほっぽい領土に関する問題もまだ解決していませんからね。プーチン大統領が歩み寄ってきてもコロコロ変わる日本の政権に不信感を抱いてしまうと、交渉の主導権はロシアへ行ってしまいます。日本もいつまでも政治家ごっこをしているのではなく、そろそろ本気で世界と渡り合えるようにしていただきたいと思います。
Posted at 14:37| 雑感 | この記事のURL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月05日

今日の社説 435

3月5日 西日本新聞

市民の生命・財産の保護が任務の警察官は、拳銃などの武器使用が許される。銃の所持が法律で禁止されているわが国で、海上保安官や自衛官などとともに認められている「特別な存在」である。その警察官が逃走車両に行った銃撃は「犯罪」なのか、それとも市民を守るための「正当な行為」だったのか−。2003年9月に奈良県大和郡山市で警察官の発砲により男性が死亡した事件の裁判員裁判の判決で、奈良地裁は、殺人と特別公務員暴行陵虐致死の罪に問われた奈良県警の巡査部長と警部補の2被告に対し、無罪を言い渡した。窃盗容疑で追跡中の車両に警察官3人が計8発発砲し、うち被告2人の銃弾各1発が助手席の男性に当たり死亡した。事件後に遺族が警察官らを奈良地検に告訴、検察は不起訴処分としていた。これを不服とした遺族が奈良地裁に付審判請求し、これが認められて今年1月23日から審理が始まった。

警察官の職務中の発砲が裁判員裁判によって殺人罪で裁かれるのは初めてであり、警察官から守られる立場の市民が直接関わったことの意義は大きいと言ってよかろう。裁判での最大の争点は、警察官の殺意の有無と発砲の正当性だった。警察官の発砲は警察官職務執行法で、犯人の逮捕や逃走防止、自己や他人の防護などで他に手段がない▽正当防衛、緊急避難に該当する−場合と定められている。公判で検察官役の指定弁護士は「警察車両で逃走車両を挟み込むなど発砲以外の手段で停止させることは可能だ。男性に弾が当たって死んでもやむを得ないと考え発砲した」と主張していた。これに対し判決は、逃走車両が現場付近で一般車両や警察車両に衝突させたりして走行して凶器と化していた−などと認定し「殺意があったとはいえず、発砲も違法とは言えない」と結論付けた。

ただ、被告の弁護人が「発砲が罪に問われれば警察官が萎縮する」と述べた点については「萎縮効果を考慮し、違法性を認定しないことは絶対許されない」と厳しく批判した。当然の指摘だろう。発生から8年余が過ぎ、発砲状況を示す証拠が乏しく証拠保全も不十分だったことなど、裁判では奈良県警のずさんな捜査も明らかになった。警察の身内への甘さを非難されても仕方あるまい。さらに、2人の被告が逃走車両など動く標的を撃った経験がないなどの問題点も浮き彫りとなった。犯罪の凶悪化で拳銃使用の機会が増えることを考えれば、訓練の充実を図るべきだろう。警察庁が発砲をためらわないよう規則を改正した01年以降、全国的に発砲が増える中で起きたのが今回の事件だった。今回の無罪判決は、警察官に発砲権限を全権委任したわけでは決してない。危機が迫る中で萎縮する必要はないが、殺傷能力のある銃使用には慎重な対応が求められる。任務の重さを、警察はあらためて自覚してもらいたい。

無罪は当然でしょう。なぜこの事件が有罪になると思ったのか?ということですよね。警察官は合法的に銃を携帯すえうことを許されている職業です。警察官ではない私たちが、銃をどこかのルートから入手し、遊び半分で発砲したら捕まりますが、この事件では、警察官が制止しているにもかかわらず、それを無視して急発進し、警官をひき殺相としていますので、このような凶悪犯には銃を向けても何の問題もないと思いますね。そうしなければ自分が殺されていたんですから。そもそも人が巻き込まれても自分が助かればそれでいいと考えているような人間ですので、警察官の説得に応じるなんてことは最初からなかったでしょうけどね。当初からこの事件が殺人罪で警察官が裁かれているという状況に納得できませんでしたから。犯人はハチの巣にされても文句が言えない状況でありながら、何故警察官が裁かれなければいけないのか…少し納得できませんでしたからね。無罪になって良かったです。
Posted at 15:07| 雑感 | この記事のURL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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