昔の英雄は、怪物退治や珍品を探し求め、クレタの牡牛やら、女王の腰帯やら、命がけ。あちこちで、いろんなハプニングがあって、それは大変です。結婚もあり、行方不明もあり、足止めされたりと、英雄たちは、波乱の冒険。
この「アルゴナウティカ」では、クレタの牡牛やらを生け捕ったヘラクレスとその息子のヒュラス、アポロンの息子なども登場するが、波乱の冒険の一役は、ヒュラス。ヘラクレスの息子で、美少年で、一役といっても、なんとも影がうすい。
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスが、ヒュラスを題材に作品を描いたが、それがあって、記憶にあるというくらいの僕です。
BAUさんのオデュッセイアの記事、ふ〜のパンドラといい、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスを取り上げていますが、彼だけではなく、巨匠達も神話の世界を描いています。僕は、ミュシャ同様に、ウォーターハウスに理解がないです。専門家たちに笑われそうですが、同じ部類と考えています。2人の描く女性像は、アニメやゲーム、ムービーのキャラクターむけ、というのが正直な感想です。
ただ、作品をみると、その筆致や優美さなどに、絵画的要素を発見し、感動します。この作品は、マンチェスター シティ・アート・ギャラリー蔵の「ヒュラスとニンフたち」(1896年)です。
まずは、ヘラクレスとヒュラス。「おじいさんは、山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に」という行き先は、どの国の昔話も同様で、ヘラクレスは、山に櫂にする木をとりに、美少年ヒュラスは水汲みに行く。
水辺に近づく美少年を、水の中に引き込んでしまうニンフ。ヒュラスの姿が見えず、狂乱するヘラクレス。そのヒュラスをニンフが引きずり込む場面が、作品にされています。結局二度と戻ってこないヒュラスですが、彼を待つために、ヘラクレスは船には乗らず、この島に残る。
BAUさんのオデュッセイアとは、トロイア戦争に行って、そして帰ってきたあたりの時代で、このアルゴナウティカは、トロイア戦争が始まる前の時代です。
この物語は、オペラや映画でも馴染みのある「女王メディア」の悲劇ともなる、イアソンとの出会いと、黄金の羊の毛皮を二人で手に入れた物語が、「アルゴナウティカ」全4巻にあります。
著者は、ヘレニズム時代のアポロニオス・ロディオスですが、ローマ白銀時代のウァレリウス・フラックスも「アルゴナウティカ」がありますが、邦訳されていません。
さて、この人が「女王メディア」です。イヴリン・デ・モーガン(1855-1919)の作品で、「メディア」です。ヴィクトリアン調です。
父親を裏切り、幼い弟を殺害したのも、愛するイアソンのため。金羊の毛皮を獲って、イアソンと結婚したものの、イアソンは、メディアに恐れを抱くようになり、グラウケと結婚を決意。
魔術をつかうメディアは、グラウケ、メディアとイアソンとの間の2人の子供にも手をかけ、周囲の人の死でもち、復讐する。
BAUさんのオデュッセイアにも、魔術を使うキルケが登場しますが、相手の女性を異形の姿に変身させるなど、人間のもつ「恨み、憎しみ」というものを象徴しているようです。残念ながら人間性には、この種が潜んでいると思う。
ふ〜のパンドラの壷のせいですか。(笑)
アルゴナウティカのイアソンとメディアに話を戻しまーす。
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの「イアソンとメディア」のディティール。(全体像はこちら)
イアソンに恋するメディアは、彼の冒険を、魔術で助けていく。青銅の牡牛を倒させ、黄金の羊の毛皮の守り神 龍を眠らせ、イアソンは龍の中に入り、その中から金羊皮を獲る。イアソンを蘇らせるのもメディア。(古典から)
羊を生贄にするメディアでは、フランシスコ・デ・スルバランの「神の子羊」が、思い浮かんだ僕でした。
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