2012年02月16日

クラナッハ(子)  最後の晩餐の自画像  Last Supper by Cranach the Younger

今日、紹介するクラナッハ(子)の作品はニ作品。


おそろいのデキャンタ

このアンティークなデキャンタをお揃いで持つ二つの作品。クラナッハ(子)が別々な作品に同じアトリビュートを描いているのが、この時代の日常的なものなのか、あるいは宗教的な意味を持つのかわからないけれど、中身はワイン。

まず一作目はこちら。左側の「バールでの預言者エリヤ」だ。


Lucas Cranach II (Lucas Cranach der Jungere)
Elie et les pretres de Baal 1545 Allemagne, Dresde, Gemaldegalerie Alte Meister, Staatliche

「バールでの預言者エリヤ」は、バール信仰(バアル信仰)の預言者にエリヤが競い勝利する話だ。

制作した1545年に、トリエント公会議がはじめられた。ルターが要求していた19回目の公会議だ。カトリックは聖餐を「聖体の秘跡」といい、キリストの肉をパンに見立て、キリストの血をワインに見立てている。ルターのプロテスタントでは秘蹟という言葉は使わず「聖餐式」と呼ぶ。

その「秘跡」(七つの秘跡)はトリエント公会議で、「聖書のみ」というルターの主張によって検討されることになる。

勝利する預言者エリヤをルターに見立てたのか、無教会主義者のエリヤをルターに見立てたのか、そうした寓意があるならクラナッハ(子)もなかなかである。


さて、ニ作品目のデキャンタを持つ男。後ろ向きに立ち、ワインを注いでいるのは・・・。画家ルーカス・クラナッハ(子)自身である。メディチ家のボッティチェッリもベノッツォ・ゴッツォリも自画像を作品中に描きこんでるのも有名。

その自画像が描かれているベノッツォ・ゴッツォリのメディチ・リッカルディ宮殿に描いた「ベツレヘムに向かう三賢王(東方三博士)」(東方三博士のベツレヘムへの旅 1459 - 1461)には、フェラーラ・フィレンツェ公会議(1439年)を象徴するヨハネス8世も描かれている。


Lucas Cranach II (Lucas Cranach der Jungere)
Leading Reformers portrayed as the Apostles, and the Elector of Saxony kneeling.

跪くのはザクセン選帝侯。キリストを囲んでいるのは、マルティン ・ ルターと宗教改革の人々。彼らが使徒として描かれている。キリストの左にはルター。右にはフィリップ ・ メランヒトン、他にはヨハネス・ブーゲンハーゲンなどクラナッハ(父)、(子)にわたって、肖像画に描かれた人々が中心。

過去記事 ルーカス・クラナッハ(子)+(父) Lucas Cranach the Younger +Elder 宗教画と肖像画編

さて、この「最後の晩餐」が描かれたのはヨアヒム・エルンスト ( アンハルト侯)の墓碑銘だ。

クラナッハ(父)の 聖マリーエン教会(ヴィッテンベルグ)の祭壇画中央が「最後の晩餐」だった。この「最後の晩餐」にもワインを注いでまわる男性が描かれていた。

記事 ルーカス・クラナッハ(父) 祭壇画 Altar by Lucas Cranach der Altere



僕のクラナッハ(子)の作品記事も含めて、XAIからクラナッハ父子の各作品をご覧あれ。
XAI クラナッハ  三位一体と死んだ男 →死ぬ男 (直訳で死ぬ男よりも「男の死」がいいのでは? saiくんよ。)



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