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2009年01月30日

百万円と苦虫女

 今回は、タナダユキ監督に映画『百万円と苦虫女』の撮影エピソードについて語っていただきました。

 この作品は、主人公の鈴子と一緒に自分を探さない旅を疑似体験していただければと思っています。私は、19才で上京したんですけど、そのときに目指したのが“百万円”だったんですね。東京に出てきてすぐに仕事(バイト)が見つかるとも限らなかったので、とりあえず百万円を目指してお金を貯めようと。結局、私は百万円に到達しなかったんですけど(笑)、そんな出来事もあって主人公の鈴子ちゃんには、百万円を到達できる人にしたいと思っていました。

 彼女は、ちょっと前科があったり、他人をネギで殴ったりするような部分もありますが、ごく普通の女の子なんです。彼女は、その事件がキッカケでいろいろな町を転々とするのですが、誰もが考えたことのある“誰も知らないところで暮らしてみたい”ということを実行に移した数少ない人なんじゃないかなと。そういう意味でも甘い作品にはしたくなかったんですね(笑)。

 そんな鈴子を演じてくれた蒼井優さんですが、褒められるたびにどんどん小さくなっていくような人でした。みんな心から「今のシーン、すごく良かった」って言っているのに、「どうも、スミマセン…」みたいな(笑)。そういう部分は、すごく鈴子に似ているような気がします。

 正直なところ、自分で「こういう作品なんです!」って言うのは苦手なんですけど、人間っていうのは、簡単に間違いをおこす生き物だと常々思っていて、例えば言葉をひとつ呑み込んだだけで取り返しがつかなくなったり、いっぱい失敗をしてしまう。そういう部分がこの作品で表現できたらいいなと思って作りました。鈴子は、この旅を経ていろんな経験を積み、また新たな場所へと旅立っていきます。次にどこに行くかはわかりませんが、あてどない旅を続ける鈴子と一緒に景色や町並みや気まずさも(笑)味わっていただければ嬉しく思います。

【今回紹介した作品】

百万円と苦虫女 [DVD]

百万円と苦虫女 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD


≪STORY≫
鈴子は短大を卒業して就職もできずに、しかたなくアルバイト生活を送っているどこにでおいる女の子。どうにかしてこの生活を変えようと考えているなか、ひょうんな事件に巻き込まれてしまう。
「百万円貯まったら、この家を出て行きます!」
と家族に宣言し、百万円を貯めるたびに次から次へと引越しをして、1人で生きていく決心をする。
行く先々の街で様々な人たちと出会い、笑ったり、怒ったり、素敵な恋をしながら、自分だけの生きかたを見つけていく女の子の旅物語。

(C)2008「百万円と苦虫女」製作委員会

【タナダユキ監督プロフィール】
1975年生まれ、福岡県出身。
2001年、初監督作品『モル』で『ぴあフィルムフェスティバル』グランプリを含む2冠を獲得。2007年公開の映画『さくらん』では、脚本を手掛ける。次世代を担う女性映画監督の一人。

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