僕が『北斗の拳』を連載していた当時には、ユリアをシンに奪われ、荒野に捨てられたケンシロウがどのようにして強い漢(オトコ)として復活したのか、そして、ラオウを倒した後のケンシロウとユリアがどのように過ごしたのかは描かれていなかったんです。それを、この映画では、全ての闘いを終えたケンシロウがユリアに昔語りをするような形で物語が進んでいきます。
『北斗の拳』は、3人の人間(原作・武論尊、漫画・原哲夫、編集・堀江信彦)で作っていたのですが、僕自身、ケンシロウには正統派のヒーローにはしたくなかったんです。真っ正直に正義を語るのは格好よくないというか、青春ものみたいになってしまうような気がしたので。どちらかというと、(人間として)最低限譲れない部分を護っていく、現実を知っている漢(オトコ)の生き様みたいなものを描きたかったんだと思います。
そして、気がつけば連載スタートから25年。振り返ってみればあっと言う間ですけど、その間にはいろんなこともありました。最初は、連載の継続が決まる“10週を超える”ことを目標に日々頑張っていたのです。連載が終わってからは、自分の描いた『北斗の拳』という作品がだんだん超えられなくなり、肉体的な限界を感じたり、アイディアが枯渇に苦しんだこともありました。そんなときに隆 慶一郎さん(『花の慶次〜雲のかなたに〜』原作者)と出会い、他の作品などを描いたりして、ようやく『北斗の拳』の呪縛から解き放たれたというか。でも、当時僕が描きたかったのは『北斗の拳』しかありませんでしたから(笑)。そして今は、『蒼天の拳』という作品を通してケンシロウ(拳志郎)を描いてしますしね。40代なりの視点で描いたケンシロウになっていますけど(笑)。いろんな作品が運命に導かれるように出会い、繋がって、1本の道として進んでいるような気がします。だから、今はケンシロウを描くことがすごく楽しいですね。
映画では、ユリアを奪われたケンシロウが本当の漢(オトコ)を取り戻していく姿が描かれています。そこが一番の見せ場になると思うし、そのキッカケがどういうものだったのかっていうことを知ってもらえればなと。生きかたに迷ったときなんかに観てもらうといいかもしれないですね。
【今回紹介した作品】
『真救世主伝説 北斗の拳 ZERO ケンシロウ伝』
2008年10月04日(土)池袋シネマサンシャイン先行上映
2008年10月11日(土)全国一斉ロードショー
≪STORY≫
漫画では描かれなかった空白の時。スクリーンで初めて明かされる真実。
その時ケンシロウが死神という名の救世主になった!!
(C)武論尊・原哲夫/NSP 1983, (C)NSP 2008
【原哲夫先生プロフィール】
週刊少年ジャンプ誌上で『北斗の拳』『花の慶次』『影武者・徳川家康』などの濃密・重厚なる傑作を続々と発表。雑誌BARTで発表した『公権力横領捜査官・中坊林太郎』は、腐敗した政財界汚染を両断する話題作となる。現在、週刊コミックバンチ誌上で『北斗の拳』の続編である『蒼天の拳』を連載中。
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