Donna con ventaglio (Woman with Fan) 1917〜18 個人蔵
「扇をもつ夫人」はグスタフ・クリムトの晩年の作品。あまりクセのない作品です。ドレスが肩をすべり落ちているところはこの上流夫人のスキャンダルにはならなかったのでしょうか。
消失した1916年作のエゴン・シーレの元恋人を描いた「ワリー(ヴァリー) Valerie "Wally" Neuzil」」も同じように左肩をはだけていますが、「扇をもつ夫人」はモデルの特定ができない作品です。
クリムトが描いた女性、または取り巻く女性も多く、クリムトのアトリエはハーレムだった時期があるそうです。気がむけば別室にいるモデルにポーズをとらせてデッサンする。そうしてポルノグラフティではないにしろ大胆な素描が出来上がる。
「扇をもつ夫人」の背景は花鳥をあしらったシノワズリ。扇もドレスもオリエンタルです。ファムファタルな女性像ではなく肖像画としての表情ですが、エヒト男爵夫人やアデーレ・ブロッホ=バウアー、フリッツア・リートラーらに比べると、やはり左肩が気になります。
表情は女性の肖像画で一番好きです。なにか自立している雰囲気があって。アデーレ・ブロッホ=バウアーのような依存するような表情は嫌いです。
ですが、クリムトの描く女性はなにかむき出しになっている。その性質が。
きっとこの夫人も想像をめぐらせると、「性質」を描かれているのでしょう。その扇の下にははだけた乳房がみえているはず。
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