ヒットプロデューサーであり、東京事変のベーシストとしても活躍する亀田誠治氏が、制作現場で起きる問題点や出来事を、鋭くも温かな視点で分析する、短期集中連載コラム。

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「正常進化」をテーマにブラッシュアップ 
今年の“ap bank fes”は昨年の“正常進化”で

 みなさんコンニチハ!僕は7/15〜17の3日間、“ap bank fes '06”に昨年に引き続きBank Bandのベーシストとして参加してきました。今回の「亀の恩返し」は、その様子をお伝えします。
 「今年の“ap bank fes ”は昨年の“正常進化”でいきたい」という小林武史さんの号令のもと、我々は4月からミーティングを開始。“正常進化”と一言で言うけれど、これが簡単なようで難しい。大成功に終わった昨年の“ap bank fes '05”…、これを“正常進化”させるためには、1年目で成し遂げた成果を、2年目の今年は更にブラッシュアップしなければならないということ。というわけで、我々は昨年できなかったこと、今年やりたいことを徹底的に話し合いました。
 たとえば、今年はバンドアクトとしてレミオロメン、HY、くるりという素晴らしいアーティスト達が参加してくれました。確かに昨年の「Bank Bandというハウスバンドがソロアーティストをサポートする」というやり方では、バンド系アーティストのこのフェスへの参加が難しかった。でも、今年はオープニングにこのバンドアクトの枠を新たに設けることによって、参加したい全てのアーティストに門戸を開くことができたのです。勘のいい読者の皆さんならもうお気づきですね。そう、この“門戸開放”の思想は「興味のある人すべてウエルカム!まずは、できることからやってみよう!」という “環境問題”の入口と綺麗に繋がっているんです。
 また、「ハウスバンドという枠を越えて“Bank Band流”のサウンドを確立したい」という小林さんの考えを具現化するために、今年からパーカッションとトランペットが加わりました。お陰でアレンジの幅が広がった!どんなジャンルにもグルーヴィーで華やかな“Bank Band流”サウンドで対応できるようになりました。さて、その中身のほうは…。

■7月15日
 コブクロは「桜」をBank Band流サウンドに乗って熱唱。路上時代にミスチルのカバーをやりまくっていたそうな。BoAはプロ中のプロです。一切のブレのないパフォーマンスが彼女の実力を証明していました。昨年に引き続き登場のポルノグラフィティは、あげあげパフォーマンスの名人。ポップとはなんぞやということを本能的に分かっている最高のユニットだ。体調を崩され急遽出演できなくなってしまった忌野清志郎さんのレパートリーは我らが若大将、櫻井和寿が全力で歌い切りました。名曲「雨上がりの夜空に」はレミオロメンの藤巻亮太も飛び入りで参加。清志郎さんに届け!
■7月16日
 昨年に引き続き登場のスキマスイッチは、突如降り出した大雨さえも味方につけて櫻井君と「シーソーゲーム」でジャンプ!そしてBENNIE K。彼女達のラブ&ピースなメッセージはこのフェスにぴったり!小田和正さんは1曲目の「ラブ・ストーリーは突然に」でいきなり客席に飛び込んで湧かせる湧かせる。最高のパフォーマンスを披露してくれました。ASKAさんはこのap bank fesの思想まで考えた見事な選曲で、孤高の世界を表現してくれました。
■7月17日
 BONNIE PINKは野外フェス映えのするアーティストだ。つま恋にこだまする彼女の歌声が僕の脳裏でフラッシュバック。きっとウッドストックってこんな感じだったんじゃないかなって直感的に思ったよ。KREVAはBank Bandのレアグルーヴに抜群のラップを乗っけて“聴かせる”&“乗せる”の緩急が絶妙なり。今井美樹さんはBank Bandサウンドに乗って気持ち良さそうに唄っていました。彼女のナチュラルさがこのフェスと絶妙にレゾナンスしていました。そしてラストを飾ったのは桑田佳祐さん。「イノセントワールド」で自転車に乗って登場し、最後に「奇跡の地球」を櫻井君と熱唱。この「奇跡の地球」に込められている「地球を想う」メッセージが、20世紀の終わりから10年の歳月を経てap bank fes '06に繋がっていることに大きな意味があるのだ。

全てが吹っ切れた櫻井君のひと言

 さて、個人的には“2回目の気負い”が辛かった。去年と同じことをやっていては我々のクリエイター魂が許さねえ! というわけで、「このフェスをもっとよくしたい!」の一心が「これでいいのか?」「ちゃんと環境問題に取り組めているか?(のこと考えられているか?)」など“自分ダメ出し”に苛まれる日々。それを救ってくれたのがリハーサルの最終日に櫻井君がかけてくれた「去年あんだけやったんだから、それでいいじゃないですか。今年は今年でできることを楽しくやりましょうよ」のひと言。これで全てが吹っ切れた。そして僕は、そんな櫻井君が人一倍頑張っているのを知っている。嗚呼!なんて素晴らしい仲間、なんて素晴らしいフェスなんだろう!そして何より、この「良くなっていくことを前提に、今ある問題点を改善する」というポジティブ・シンキングこそが、“環境問題”と取り組む姿勢にしっかり繋がっているのではないでしょうか? 日々勉強、まだまだ若葉マークの亀田誠治です。

ap bank fes '06
7/15〜7/17 @つま恋
今年は出演アーティストも増え、3日間で演奏した曲数はのべ70曲!

Posted at 10:57 | この記事のURL | Clip!!

亀田 誠治プロフィール
1964年、N.Y.生まれ。幼少の頃よりクラシックギター、ピアノなどを学び14才でベースを弾き始める。88年頃より、アレンジャー・プロデューサーとしての活動を始める。最近では椎名林檎、スピッツ、平井堅、Do As Infinity、クラムボン、PUFFY、175R、スガシカオ、平原綾香、山嵐等のアーティストのプロデュース&アレンジを手がける。それぞれのアーティストの長所を引き出す「いいとこどり」が得意。ビートルズと太宰治と赤塚不二夫をこよなく愛す42才。
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