| English or Japanese?にわかに市民権を得る英語詞 |
ヒットするのに日本語詞はもういらないの?
亀八先生 「Def TechにBENNIE K、ELLEGARDEN、MONKEY MAJIK…、いいかぁ、みんなぁ〜!これらのヒット曲に共通することは何だぁ?」
オリ子 「先生、なんだか英語だらけで、どっちがタイトルでどっちがアーティスト名なのか、チンプンカンプンです!」
亀八先生 「ふむふむ、そういう気持ちもよくわかる。先生も昔、スピッツの「ロビンソン」をロビンソンの「スピッツ」と言って彼女にドン引きされたことがある。じゃ、これに例えば昨年大ヒットしたO-ZONE の「恋のマイアヒ」が入ったら?」
オリ子 「わ、わかった! 歌っている人が外人さんです!」
亀八先生 「惜しい! BENNIE Kは英語ペラペラの帰国子女だ。ELLEGARDENにいたっては全員日本人だし千葉県人だぞ〜!」
オリ子 「う〜ん???」
固まってしまったオリ子ちゃんに代わってお答えします。この3曲に共通するのは歌詞の大半に日本語ではなく英語が使われている点です。ましてや「恋のマイアヒ」にいたっては全編モルドバ語でした。では、ヒットするのに日本語はいらないの?
いえいえ、決してそんなことはありません。これらの曲には非常に厳選された英語が使われていて、そんじょそこらの日本語詞よりも、聴き手にしっかりイメージ&メッセージが届くように作られています。また、これらの曲のタイトルに使われる英語のキーワードは大変キャッチーでスタイリッシュでしょ
英語詞パートは「カラダで感じられる」作りに
そういえば90年代のJ-POPでは「Hello, Again〜昔からある場所〜」(My Little Lover)や「バンザイ〜好きでよかった〜」(ウルフルズ)など、サブタイトルをつけて、タイトルにプラスαのイメージをトッピングする手法が流行りました。しかし、イマドキの英語タイトルはこのサブタイトルの部分までラクラク網羅しています。ユーザーは、もはやサブタイトルやタイアップ云々のトッピングアイテムで「ご親切に」イメージを押し付けられるのが「うざったく」なっているのですね。それよりも、イメージはユーザーの感覚に「お任せ」してアソビを持たせておくくらいが丁度よいのです。
また、これらの英語詞パートは、オケだけでもメロディアスで「カラダで感じられる」作りになっています。たとえ歌詞が理解できなくても、メロディやグルーヴ、コード感といった音楽的な要素で十分キャッチーな楽曲として成立しているのです。我々は作り手として、日々の現場で「メロディ」と「歌詞」の両方に過剰な期待と完成度を要求します。でも、ひとたびそれが「作品」として街に飛び立った瞬間からはユーザーの気分次第。「歌詞がいいから」「サウンドがいいから」「イケメンだから」…好きになる理由は千差万別。これらは英語詞だからヒットしたのではなく、ユーザーが無意識に「いいね!」ってカラダで感じる音楽的ツボを押さえているからなんですね。
こういった英語詞は堪能なネイティブ発音で歌われています。ここが今までのJ-POPが奮闘してきた「日本語を英語ノリで歌う」歴史を根本的に塗り替えています。ましてや、英語詞の洪水から一瞬のスキをついて割り込んでくる日本語詞には核弾頭的な威力があるのです。アタックとスピード感のある「記号のような」英語詞から我々が無意識に認識できる日本語詞にスイッチされた瞬間に聴き手の感動と興奮のメーターは振り切れます。
日本語詞=アナログのよさ、英語詞=デジタルのよさ
一方で、ストレートでまっすぐな日本語のメッセージと、日本語の本来の響きを大切にした作品もしっかりユーザーに受け入れられています。そういった作品に共通するのはアーティストの日常を切り取ったまっすぐなメッセージです。彼らが大声で歌うのは、「過剰な親切」とは別次元の、僕たちが生きていく上で「シラフじゃ言えない、恥ずかしいくらいの本音」の部分です。彼らはそれを細やかな心情&情景描写を交えて、しっかり代弁してくれているのです。それを瞬時に聴き手に理解させるには日本語詞の方が有利です。なぜなら日本語詞ではドット数とかビット数では割り切れない行間を含めた「ぼんやり」したイメージの伝達が可能だからです。聴き手の心の階層の深いところまでメッセージが届くのです。
こう考えると、日本語詞=アナログのよさ(ぼんやり)、英語詞=デジタルのよさ(くっきり)の図式が見えてきます。デジタル文化が急速に進む中で英語詞の曲が市民権を得るのも、逆に日本語詞の曲に立ち返りたくなるのも、自然なことなのかも。English or Japa-nese?この延長線上にこれからの名曲誕生のヒントがあるのかもしれません。 |
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| Posted at 12:35
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