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2010年08月06日

柳広司『新世界』

私は戦争ものの小説を初めて読破。
しかも全く知識が無いので、
登場人物含め全てをフィクションとして読めた。

途中までは。

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アメリカ・サンタフェから北西に約64キロ内陸。
ロスアラモスの地。
ここは原爆開発、実験が行われていた。


ロバート・オッペンハイマー:原爆開発を指揮した男。
イザドア・ラビ:彼の唯一の友人。
この物語はイザドアの視点で描かれている。


1945年8月15日。
戦争が終わり、死神から解放された
ロスアラモスの科学者達のパーティ。
ウクライナのキスチャコフスキーは祝砲を誤爆し、入院。
しかし翌朝、キスチャコフスキーの入院した病室から
別人の他殺体が発見される。


途中に「イルカ放送」なる寓話を挟み、
人類初の臨界被爆者となったハリー・ダグランが死亡。

ここから、ヒロシマ原爆の描写が始まる。
文字だけなのに悶絶しました、私。

本当は目を背けてはいけないのに。


アメリカの科学者本人側も、罪の意識に苛まれ。
ヒロシマに原爆を「産み落とした」マイケル・ワッツ。
原爆開発者と投下した者。
どちらが罪人なのか。
そして、どれが正気で何が狂っているのかーーーー。
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善と悪は誰のココロにも根があるが、
戦争は行き過ぎている。

前半はエンタテイメント・ミステリで、
「前半は」楽しく読めます。
ただ、病室の殺人はヒロシマ描写を抜けないと展開しません。


『われわれの新しい世界』
これは、原爆が死の街を作った・・・のではなく、
全ての生が不可能になった事。
(最後の章より抜粋)

原子爆弾は、死を作った新しい世界。


争いをやめる為に投下した爆弾。
今なお、どこかしこで争いは絶えない。
この本は、そんな愚かなる人間を嘆いている。
是非「イルカ放送」の寓話だけでも読んで欲しい。
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