サムライジャパンが最速164キロの難敵を迎える。キューバがB組を1位突破した場合、第2ラウンド初戦(15日=日本時間16日)で国内リーグ奪三振王のアルベルティン・チャップマン投手(21)を投入することが10日、濃厚になった。キューバ歴代最速記録を塗り替えた剛腕サウスポーだが、国際大会でのデータが少なく、その実力はベールにつつまれている秘密兵器。日本は松坂大輔投手(28=レッドソックス)の先発が有力で、注目の一戦になる。日本代表は9日(日本時間10日)、合宿を行う米アリゾナ州スコッツデールに到着した。
キューバが雪辱戦に秘密兵器チャップマンを先発させる可能性が浮上した。まず10日(日本時間11日)のオーストラリア戦で先発させる。好投し、チームも1位突破した場合、15日の第2ラウンド初戦でも先発マウンドに送る。同国関係者は「オーストラリア戦で先発させるので、中4日でいけばチャップマンだね。となれば松坂との対戦はエキサイティングな顔合わせが期待できるね」と、日本戦での起用を示唆した。
今季国内リーグで12試合に先発し6勝1敗、74回1/3を投げて1位の89奪三振。190センチの長身からスリークオーター気味に、速球で押す本格派だ。しかもスライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップと球種も多彩。驚くのは常時150キロ後半を出すストレートで、昨年12月20日のラス・トゥナス戦で102マイル(約164キロ)を計測したと報じられる。同国史上2人目の100マイル投手になるとともに、歴代最速記録を更新した。メキシコ合宿中の2月27日には練習試合に登板し、並べた2台のスピードガンがそれぞれ最速100マイルと101マイルを計測。メジャーでも左腕の歴代最速はランディ・ジョンソン(45=ジャイアンツ)が5年前に記録した102マイルだけに、現在は同投手が世界最速サウスポーといえる。
日本にとっては少ない情報もやっかいだ。チャップマンの国際大会出場は07年にパンアメリカン大会(ブラジル)とW杯(台湾)があるだけ。昨年の北京五輪は最終選考でメンバー漏れしたため、今回が初のメジャー大会となる。W杯準決勝では社会人と大学生で構成した日本戦に先発し、8回を3安打1失点。今秋のドラフトで巨人が1位指名の方針を固めたホンダ・長野久義外野手(24=日大)、中日のルーキー野本圭外野手(24=日本通運)ら擁する打線から11三振を奪う快投で、大会の最優秀左腕にも選ばれた。
日本にとっては、情報収集へ残されたチャンスは、初登板となるオーストラリア戦しかない。ただ若さゆえに粗さもある。今季の防御率3・75は規定投球回に到達した40人中18位と平凡で、四球は9イニング平均5個と制球難は否めない。最速記録を計測した試合は6回途中4失点でKOされており、6四球3暴投と評価に苦しむマウンドだった。荒れ球に手を出さなければ突破口が開ける。
8日の南アフリカ戦に快勝したベラス監督は、試合後に日本の印象を聞かれても「第1ラウンドのことしか考えていない」と素っ気なかったが、前回に続くWBCを指揮。決勝で敗れた悔しさを忘れるはずがなく、「打倒日本」への思いは強い。しかも同決勝で封じられたレッドソックス松坂との再戦となれば、野球王国の誇りをかけて、「赤い稲妻」の雪辱心に火がつくはずだ。