鬼の堪忍袋がついに切れた。武蔵川理事長がガッツポーズ、帰国と騒動続出の高砂親方と朝青龍に最後通告を突きつけた。「次に問題があれば理事会にかける。親方も朝青龍も両方だ」。問題が再発すれば、理事会で厳正な処分を下すことを断言した。
理事長の主張はすべて筋が通っていた。千秋楽で朝青龍が見せたガッツポーズ。横綱としての品格を著しくおとしめるパフォーマンスに、横審から苦言が続出。理事長が29日の理事会前に高砂親方を呼んで厳重注意する事態に発展した。
「あのガッツポーズを見て、師匠はやった時点で自ら弟子に注意してこちらに説明に来るのが筋だ。翌日に横審で問題になったことも報じられた。理事長に呼ばれて来ること自体が師匠として情けない。危機感を感じてないのかと疑いたくなる」。さらに問題が表面化した中、朝青龍は師匠の許可を得て27日にモンゴルへ帰国。一部の横審委員は臨時会合を招集して引退勧告の決議を諮る強行姿勢もみせ、騒動は発展の一途をたどっている。「帰ることはともかく、まず師匠として弟子によく説明して直さなければいけない。師匠としての考え方がおかしい」と理事長は語った。
昨年から不祥事が続いた角界。昨年末には研修会を開き綱紀粛正を図ってきた。「素晴らしい復活の直後だけにマイナスが残念だ」と理事長。優勝は評価するが、不祥事の再発防止へ問題は見過ごすことはできない。その上で問題が再発すれば理事会で処分を決める覚悟だ。2年前のサッカー騒動では出場停止と減俸だった。再発なら、その上の最も重い解雇の適用も浮上する。「騒がして協会に迷惑をかけたことをどう直していくのか」。浮かれまくったV23からわずか3日後。「勝てばいい」との朝青龍の哲学はもう通用しない。
◆最近、協会理事会で同時に処分された師弟(カッコ内は処分決定日)
▽大嶽親方と露鵬(06年7月16日)名古屋場所中、カメラマンに暴行した幕内・露鵬に中日から3日間の出場停止と大嶽親方(元関脇・貴闘力)に3か月間10%の減俸。
▽大島親方と旭天鵬(07年5月17日)禁止されている自動車の運転で事故を起こした幕内・旭天鵬に夏場所の出場停止と3か月間30%の減俸。大島親方(元大関・旭国)も3か月間30%の減俸。
▽高砂親方と朝青龍(07年8月1日)巡業の休場届を出しながらモンゴルでサッカーに興じた横綱・朝青龍に2場所出場停止と4か月間30%の減俸。高砂親方も4か月間30%の減俸。
▽陸奥親方と豊桜(08年5月29日)序ノ口力士への暴行で十両の豊桜に3か月間30%の減俸。陸奥親方(元大関・霧島)へけん責。
▽間垣親方と若ノ鵬(08年8月21日)大麻不法所持で逮捕された幕内・若ノ鵬を解雇。間垣親方(元2代目横綱・若乃花)を理事から委員へ降格。
◆日本相撲協会の賞罰規定 寄附行為施行細則の第9章賞罰第96条に「年寄・力士・行司およびその他協会所属員に対する賞罰は、けん責・給与減額・出場停止・番付降下・解雇の5種として理事会の議決により行うものとする」と記されている。朝青龍は2年前のサッカー騒動で出場停止処分を受けており、次に同様の問題を起こせば横綱の降下は制度上、存在しないため解雇は免れない情勢だ。